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籐・ラタン家具の歴史1
籐・ラタンと人間の関わり、その歴史について触れます。
古くは古代エジプトから
古代四大文明のひとつ、エジプトの例が最古のものとされます。紀元前4000年頃、籐のスツールが使われているようすを刻んだレリーフが発掘され、博物館に保存されています。
また、西暦2世紀頃のものと思われる石彫のレリーフにも、籐イスと思われる形状のものにローマ人女性が座っている姿が描かれています。
植民地時代にヨーロッパに広がる
14~15世紀頃の西ヨーロッパ諸国は、いわゆる大航海時代、植民地獲得の時代に入っていきます。その頃から、東南アジアなど現地の労働力と籐・ラタン資源を用いて家具を作らせ、本国に持ち込むという形で、ヨーロッパに籐・ラタン家具が入るようになりました。イギリス、スペイン、ポルトガル、フランスといった国々です。
ルネサンス期ではルイ13世が籐を用いたイスを使用しており、続くルイ14世の時代には籐や皮を加工した家具が流行しました。
第二次世界大戦の頃にいたるまで、ヨーロッパ列強諸国は、多種多様な籐・ラタン家具を東南アジアから収奪しています。
日本に入ってきたのは約1000年前
日本には熱帯地域で採れるようなヤシ科の籐はありませんでしたので、海外からの渡来を待たなければなりませんでした。しかしその伝来は早く、少なくとも1000年以上は前のことだっただろうと考えられています。
当初は家具ではなく、重藤弓(しげとうのゆみ)やなぎなたの柄巻など、武器に使われたようです。
2022-06-25 07:38:09
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2021年度 東京手仕事展入選 籐扇子。


2022-05-30 17:30:45
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ラタンという素材について8
加工材料・技法などの用語
籐・ラタン製品を作製する部材や加工材料、編み上げる技法などについては、さまざまな独特の用語があります。知っておけば、籐・ラタン家具の目利きになれるかもしれません。
1.巻材・編材の太さ
巻材・編材の太さは「棟(カン)」という単位で表します。棟は、3センチ×3センチの一寸角に何本の巻材・編材が入るかという数の単位です。その一寸角に3本入れば、その籐材は「3棟」の太さです。数が大きいほど細い籐材を表すことになります。
2.フレーム材の太さ
フレーム材(「丸籐」と言うことがあります)の太さは階級制で呼び名が決まっています。
・幼民(ヤンミン)……10~14ミリ
・中民(チュウミン)……15~24ミリ
・太民(ターミン)……25~30ミリ
・太太民(ターターミン)……31ミリ以上
なお、太民を半分に割ったものは「半割」と呼ばれ、イスの座面などに使われます。
3.巻材・編材の種類
・籐芯……皮をむいた中の組織
丸芯……直径1.4~15ミリほどに太さをととのえたもの
半芯……丸芯を半分に割ったもの
平芯……ラタンを薄い板状に割ったもの
・皮籐……ラタンの皮を3~5ミリほどに裂いたもの
手引きで作る場合と機械引きで作る場合とがあります。
4.編みの技法
フレームを組んで家具を成形したあと、編材で面の部分を編み上げていきます。そのときの編み上げる技法です。
・目積編み
・四つ目編み
・元禄編み ……以上3つが機械編みです。
・カゴメ編み
・市松編み
・あじろ編み
・花張り編み
・四つ目
・乱れ編み・・・・・・以上6以上の手編みがあります。
2022-04-21 07:45:56
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ラタンという素材について7
籐・ラタンの等級(品質のランク) 籐・ラタンの種類によっても貴重さの程度は変わり、価格も変わりますが、同じ種類の籐・ラタンでも出来の良し悪しがあります。そこで、籐・ラタンの品質レベルをランク付けする「等級」が定められています。
製作される籐・ラタン家具の良し悪しは、用いられる素材の等級に大きく左右されます。
ここではセガ籐を取り上げて等級の説明をします。 セガ籐はホーロー質のツヤが特徴ですが、同じセガ籐でも質の低いものはツヤがそれほどありません。
反対に、ロンティでも質の高いものならセガ籐かと思うほどのツヤがあることがあります。こういうものですから、等級は大事なポイントです。 ・特級 一本のラタンの根に近い部分に多い材質です。繊維が密で硬く、何よりもツヤがあります。色は、最初薄黄色で、使うにつれて年々色に深みが増していきます。
その一方、ツヤは変わりません。細いものは網代、太いものは筵に使います。 ・一級 硬さ、ツヤ、繊維は特級に遜色ありませんが、色合いが若干劣るものが一級です。長年使用しても修復して続けて使える高級な敷物を作ることができます。 ・二級 硬さ、ツヤ、繊維、色合いで一級より劣るものが二級になります。
漂白・染色して使うのがほとんどです。そのため、使い込む中での色合いの深まりは上級品ほどではありません。 ・等外 表向きの目に付くところには使用できないレベルのラタン材で、芯に使用します。 ・ボケ籐 一本のラタンの先端部分、伸びつつあった若い組織の素材です。巻材などに使います。
2021-10-12 11:05:18
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ラタンという素材について6
籐・ラタン材の種類2 引き続き、代表的でよく使われる籐・ラタン材の種類を紹介していきます。
1.マナウ(Manau) マレーシア北部やスマトラ島の山間部の傾斜地で生育するラタンです。
太さが30~80ミリほどもあり、約15年かけて成長します。 収穫量が大変少なく、希少性が高い素材です。
非常に太く、強靱で、節目が低く太さが均等、繊維が細かいといったすぐれた特徴がありますが、最大の特徴はセガのような硬質で美しい艶の「ホーロー質」にあります。この為、皮付きのままデザイン性の高い家具などに使われます。
2.トヒチ(Tohiti) インドネシアのスラウェシ島に多く分布する、太さ10~30ミリほどの籐です。硬くて比較的重く、剛性がありながらも加工性にすぐれているため、美しい曲線が表現しやすくなっています。
イスなどのフレームによく使われます。 皮付きのままでも白く美しいのですが、染色すると細かく密集した道管がきれいに浮かび上がり、味わい深い風合いをかもし出します。
3.バターン 比較的まっすぐで柔軟性があまりなく、曲げにくい性質の籐です。
直線的なフレームや、緩やかな曲線を出したい部分に使用します。マナウが少なくなった現在、バターンが主要材料になっています。 素材としてよく使われる籐・ラタンは以上の6種類です。 用途、デザインによっては東南アジア以外の地域に生育するラタンが使用されることもあります。しかし、かなり珍しいと言えるでしょう。
2021-10-12 11:01:52
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ラタンという素材について5
籐・ラタン材の種類1 それでは、家具の部材として用いられるものを中心に、東南アジア産の籐・ラタン材の種類の、よく用いられる主なものを紹介していきましょう。
1.セガ(Sega 色牙) 最もポピュラーなタイプと言えるでしょう。カリマンタン島(ボルネオ島)の奥地に生育する、太さ4~15ミリほどの籐です。その特徴はなんといっても「ホーロー質」と呼ばれる表面の硬くて美しいツヤ。家具のデザインを引き立たせ、高級感をあたえる、ほかのラタンにはない特性を発揮します。
その他の性質としては、ひんやり感のある肌ざわりがあり、通気性・放吸湿性にすぐれています。その為、敷物やイスの背もたれなどに使われます。暑い季節にとても適しています。
ブドウのような紫色の果実を食べてもおいしいそうです。
2.ロンティ(Lunti 倫地) セガと異なり、ツヤのあるホーロー質はありません。そのかわり色を着けるのには有利なので、カラフルな装飾性のある製品が作れます。濡らすと柔軟性が高まり、網や籠などを編むことができるようになります。
3.ウンブル(Umbulu) 比較的安価な素材で、リーズナブルな製品を造れます。軽くて柔らかいのですが、繊維が粗いので細かい編み物にはできません。また、柔らかすぎるので家具のフレームなどには向きません。各種の籠、バスケットを編むのに用いられます。
2021-09-13 08:15:10
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籐という素材について4
通気性・放吸湿性に優れている 秋の田の刈り穂の庵の苫をあらみ我が衣手は露に濡れつつ 『百人一首』の最初の歌ですから、皆さん覚えておいででしょう。天智天皇の歌です。
上の句は「収穫の秋、田から刈り取った稲穂の仮置き場の小屋を編んだ苫の網の目が粗いので」という意味になります。「苫」というつる植物で編んだ仮小屋でしたが、その編み目が粗いものだから天智天皇の衣が露で濡れてしまったというお話。
つる植物で編んだものなんて、そんなものです。
防水性はありません。望むだけ野暮というものです。
そのかわり、つる植物で編んだものには抜群の通気性があります。 たとえば前のページで取り上げたベッド。当然、マットを敷いて使いますが、ベッドのマットはあまり干したりしませんね。
干した方がいいことは重々承知でも、なかなかできません。 そこで籐・ラタン製のベッドです。マットを置く面が通気性の良い編み目になっていますから、湿気がこもりません。暑い季節でも快適な寝心地がえられるでしょう。
それから、籐・ラタンの茎が多孔質であることから、籐・ラタン製品はすぐれた放吸湿性を持ちます。
乾燥した空気の中では中の湿気を放出し、逆に湿度が高いときには、湿気を取り込もうとする性質です。
奈良の東大寺にある正倉院が、木材の放吸湿による収縮・膨張を利用した湿度調整機能を発揮する「校倉造」で有名です。あれと似たような機能を、籐・ラタン材は持っています。
2021-09-13 08:12:09
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2021-08-20 14:48:19
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階段手すり巻き、皮籐3,5mm 天然色材料で施工。

2021-08-20 14:46:15
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